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パート雇用契約書の作成義務とは?違反時の罰則と正しい作成手順
2025年01月06日 労働基準法パートタイム労働者を採用する際、雇用契約書の作成は非常に重要です。「パートだから雇用契約書は不要」と考えていませんか?パートタイム労働法により、パート雇用契約書の作成は義務であり、違反すると罰則を受ける可能性もあります。本記事では、「パート雇用契約書の作成義務」について、正社員との違い、法改正への対応、トラブル防止のための作成方法まで、わかりやすく解説します。
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目次パート雇用契約書の作成は義務!違反時の罰則も解説
パートタイム労働者を雇用する際、雇用契約書の作成は労働基準法およびパートタイム労働法によって義務付けられています。
企業規模の大小に関わらず、パートタイム労働者を一人でも雇用する場合、必ず雇用契約書を作成し、労働条件を明示しなければなりません。
この章では、パート雇用契約書の作成義務と、違反した場合の罰則について詳しく解説します。
具体的には、パートタイム労働法における雇用契約書の作成義務、雇用契約書を作成しない場合の罰則、そして罰則を避けるために企業が取るべき対策について以下、詳しく見ていきましょう。
パートタイム労働法における雇用契約書の作成義務
パートタイム労働法では、事業主に対してパートタイム労働者を雇い入れる際に、労働条件に関する事項を記載した文書を交付することを義務付けています。
この文書がいわゆる「雇用契約書」です。
労働条件の中でも、昇給、賞与、退職手当の有無といった特定の事項については、特に明示が必要とされています。
これらの事項を明記することで、労働条件に関する紛争を未然に防ぎ、労使間のトラブルを回避する目的があります。
事業主は、パートタイム労働者に対して、労働条件を明確に通知し、合意を得ることが重要です。
雇用契約書を作成しない場合の罰則
パートタイム労働者を雇用しているにもかかわらず、雇用契約書を作成しない場合、労働基準法違反やパートタイム労働法違反に該当する可能性があります。
具体的な罰則としては、労働基準法違反の場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、パートタイム労働法に基づき、労働条件の明示義務を怠ったと判断されれば、10万円以下の過料が科される可能性があります。
罰則を受けることは、企業の信用問題にも発展しかねない重大なリスクです。
罰則を避けるために企業が取るべき対策
罰則を避けるためには、パートタイム労働者を雇用する際に、必ず雇用契約書を作成し、労働者に交付しましょう。
また、雇用契約書には、労働基準法やパートタイム労働法で定められた必要事項を漏れなく記載する必要があります。
特に、昇給、賞与、退職手当の有無、相談窓口については明確に記載しましょう。
さらに、法改正の情報にも常にアンテナを張り、最新の法令に準拠した雇用契約書を作成することが大切です。
厚生労働省が提供するモデル労働条件通知書などを活用するのも有効な手段です。
パートと正社員の雇用契約書の違いとは?
パートタイム労働者と正社員では、労働時間や労働条件が異なるため、雇用契約書の内容にも違いが生じます。
雇用契約書は、労働条件を明確化し、労使間のトラブルを防止する上で非常に重要な役割を果たします。
この章では、パートと正社員の雇用契約書の違いを説明します。
パートと正社員の雇用契約書には、絶対的明示事項の違い、相対的明示事項の違い、契約期間や更新に関する違いがあります。
それぞれの違いを理解し、適切な雇用契約書を作成しましょう。
絶対的明示事項の違い
絶対的明示事項とは、雇用契約書に必ず記載しなければならない事項です。
パートと正社員で共通する絶対的明示事項は、労働契約の期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金に関する事項などが挙げられます。
一方、パートタイム労働者にのみ明示が義務付けられている事項として、昇給、賞与、退職手当の有無と相談窓口があります。
正社員には通常存在する昇給・賞与・退職手当ですが、パート労働者には無い場合も多いため、有無を明示しなくてはなりません。
また、パートタイム労働法では、パートタイム労働者からの相談に対応する体制を整備することが義務付けられています。
相対的明示事項の違い
相対的明示事項とは、企業が制度として定めている場合に記載が必要な事項です。
具体的には、退職手当、賞与、安全衛生、職業訓練、災害補償などに関する事項が該当します。
パートタイム労働者の場合、退職手当や賞与に関する定めがないことも多く、正社員とは異なる内容になることが一般的です。
また、短時間労働であるため、正社員と比較して安全衛生や職業訓練に関する記載が簡略化されるケースもあります。
相対的明示事項についても、正社員とパートタイム労働者の待遇の違いを考慮し、適切に記載する必要があります。
契約期間や更新に関する違い
パートタイム労働者は、正社員と比べて有期雇用契約であることが多いです。
契約期間や更新に関する事項は、労使間のトラブルに発展しやすいため、特に注意して記載する必要があります。
パートタイム労働者の場合、契約期間は原則として1年以内とされており、契約を更新する場合はその都度、労働条件を明示し、雇用契約書を締結しなくてはなりません。
契約更新の有無や更新する場合の判断基準なども明確に記載することで、雇止めに関する紛争を未然に防ぐことができます。
正社員の場合は、無期雇用契約が一般的であるため、契約期間に関する記載は不要です。
パート雇用契約書作成で注意すべき法改正のポイント
近年、働き方改革の一環として、パートタイム労働者の待遇改善を目的とした法改正が相次いでいます。
企業の人事担当者は、法改正の内容を正確に理解し、雇用契約書に適切に反映させなければなりません。
この章では、パート雇用契約書作成で注意すべき法改正のポイントを見ていきます。
パート雇用契約書を作成する際は、同一労働同一賃金、労働条件通知書の電子化、その他注意すべき法改正について理解しておく必要があります。これらの法改正を理解し、適切に対応しましょう。
同一労働同一賃金について
2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」(中小企業は2021年4月施行)により、同一企業内における正社員とパートタイム労働者の間の不合理な待遇差を解消することが求められています。
具体的には、基本給、賞与、各種手当、福利厚生など、あらゆる待遇について、職務内容、責任の程度、職務内容・配置の変更範囲等が同じであれば、同一の待遇としなければなりません。
異なる場合は、その理由を説明する義務が発生します。
これに伴い、パートタイム労働者の待遇に関する事項を雇用契約書に明記する重要性が増しています。
待遇差がある場合は、その理由を労働者に説明し、納得を得られるよう努めなければなりません。
労働条件通知書の電子化について
2019年4月の労働基準法改正により、労働条件通知書の電子交付が可能になりました。
これまで、労働条件の明示は書面で行うことが原則でしたが、労働者が希望した場合には、電子メールやSNS等を活用して労働条件を通知することが認められました。
この改正により、パート雇用契約書の作成・交付業務の効率化が期待されます。
ただし、電子交付を行うためには、労働者が電子交付を希望すること、労働者が受信できる環境が整備されていること、出力して書面を作成できる形式であること等の要件を満たす必要があります。
その他、注意すべき法改正
上記で挙げた法改正以外にも、ハラスメント防止対策の強化や、育児・介護休業法の改正など、人事担当者が把握しておくべき法改正は多岐にわたります。
例えば、パワーハラスメント防止措置が事業主に義務付けられ、相談体制の整備などが求められています。
また、育児・介護休業法の改正では、育児休業の分割取得が可能になるなど、制度が拡充されています。
これらの法改正に適切に対応するためには、厚生労働省のウェブサイトなどで最新情報を確認し、必要に応じて就業規則や雇用契約書の見直しを行いましょう。
常に最新の法令に準拠した雇用管理を心がけることが重要です。
パート雇用契約書の具体的な作成方法とトラブル防止策
パート雇用契約書は、労働条件を明確化し、労使間のトラブルを未然に防ぐために非常に重要な書類です。
しかし、具体的にどのように作成すればよいのか、どのような点に注意すればトラブルを防げるのか、悩んでいる人事担当者も多いのではないでしょうか。
この章では、パート雇用契約書の具体的な作成方法とトラブル防止策について詳しく解説します。
具体的には、モデル労働条件通知書の活用方法、雇用契約書作成時の注意点、トラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。
これらを参考に、適切な雇用契約書を作成し、労使トラブルの防止に努めましょう。
モデル労働条件通知書の活用方法
厚生労働省は、パートタイム労働者向けのモデル労働条件通知書をウェブサイト上で公開しています。
このモデル労働条件通知書は、労働基準法およびパートタイム労働法で定められた必要事項を網羅しており、雇用契約書を作成する際の参考になります。
モデル労働条件通知書をそのまま利用する、もしくは自社の状況に合わせて修正を加えることで、効率的に雇用契約書を作成できます。
また、モデル労働条件通知書には、絶対的明示事項だけでなく、相対的明示事項についても記載例が示されているため、初めて雇用契約書を作成する人事担当者でも安心して活用できます。
雇用契約書作成時の注意点
パート雇用契約書を作成する際には、労働基準法およびパートタイム労働法で定められた必要事項を漏れなく記載することが重要です。
特に、労働契約の期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金、昇給・賞与・退職手当の有無については、必ず明示しなければなりません。
また、労働条件は具体的に記載することを心がけましょう。
例えば、時給を記載する際は、「1時間あたり〇〇円」と明確に記載します。
さらに、労働条件に変更が生じる可能性がある場合は、その旨も記載しておくとよいでしょう。
例えば、「業務の都合により、就業場所を変更することがある」といった記載が考えられます。
トラブルを未然に防ぐためのポイント
雇用契約書に関するトラブルを未然に防ぐためには、作成した雇用契約書をパートタイム労働者に交付し、内容を十分に説明することが重要です。
労働者が内容を理解し、納得した上で契約を締結することで、後のトラブルを防げます。
また、雇用契約書は、労働者と事業主の双方が署名または記名押印し、それぞれ1通ずつ保管することが望ましいです。
さらに、労働条件に関する相談窓口を設置し、パートタイム労働者からの相談に適切に対応できる体制を整備することも重要です。
相談窓口の連絡先は、雇用契約書に明記しておきましょう。
加えて、雇用契約書は法令に準拠して作成することが重要です。
法改正があった場合は、速やかに雇用契約書の内容を見直し、必要に応じて修正しましょう。
まとめ
アナタにあった職場を紹介します!
パートタイム労働者を雇用する際には、雇用契約書の作成が義務であり、違反すると罰則を受ける可能性があります。
正社員との違いや、法改正の内容を理解し、適切に対応することが求められます。
厚生労働省が提供するモデル労働条件通知書などを活用し、トラブルを未然に防ぐための対策を講じましょう。
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