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【2025年最新版】労働条件通知書の書き方:絶対的明示事項と電子化の完全ガイド
2025年01月05日 労働基準法2024年4月から労働条件通知書のルールが変わり、明示事項の追加や電子化など、企業には様々な対応が求められています。「法改正で何が変わったの?」「具体的に何をすればいいの?」と頭を悩ませている人事・労務担当者の方も多いのではないでしょうか。労働条件の明示は、労働者とのトラブルを防ぎ、良好な関係を築くための第一歩です。この記事では、労働条件通知書の義務化について、法改正の内容を踏まえ、書き方や絶対的明示事項、電子化の注意点まで、企業が対応すべき事項をわかりやすく解説します。適切な労働条件通知書の交付は、従業員との信頼関係を高め、事業の発展につながります。ぜひ、最後までお読みください。
目次労働条件通知書の義務化とは?法改正で何が変わる?
労働条件通知書は、企業が労働者を雇い入れる際に交付する、労働条件を明示した重要な書類です。
労働基準法によって交付が義務付けられていますが、2024年4月の法改正により、明示事項の追加や電子化に関する変更がなされました。
この章では、労働条件通知書の役割と義務化の背景、2024年4月からの主な変更点、法改正で企業が対応すべきことについて以下の項目を解説します。
労働条件通知書とは:役割と義務化の背景
労働条件通知書とは、労働契約の締結時に使用者が労働者に対して、労働条件を明示し通知する書面です。
労働基準法第15条に基づき、労働条件の明示が義務付けられています。
労働条件の明示は、労働者が自身の労働条件を正確に把握し、使用者とのトラブルを未然に防ぐとともに、労使間の信頼関係を構築する役割を担っています。
労働時間、休憩時間、休日、賃金など、労働者が働く上で特に重要な項目は「絶対的明示事項」と呼ばれ、必ず書面で明示しなければなりません。
2024年4月からの主な変更点
2024年4月の労働基準法改正に伴い、労働条件の明示ルールが変更されました。
主な変更点は、全ての労働者に対する就業場所・業務の変更の範囲の明示、有期雇用労働者に対する更新上限の明示の2点です。
これらの明示事項は、労働者が自身のキャリアプランを考える上で重要な情報となります。
特に、有期雇用労働者にとっては、将来の雇用形態に関わる重大な変更と言えるでしょう。
労働条件明示ルールの変更で企業が対応すべきこと
企業は、2024年4月の法改正に対応するため、労働条件通知書の見直しが必要です。
具体的には、就業場所・業務の変更の範囲、有期雇用労働者における更新上限の有無と内容を明示事項に追加します。
また、労働条件通知書の様式変更や電子化への対応も検討しましょう。
これらの対応を怠ると、労働基準法違反となり、罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。
適切な対応は、労働者とのトラブルを回避し、良好な労使関係の構築につながります。
労働条件通知書の書き方:絶対的明示事項を漏れなく記載
労働条件通知書を作成する際は、労働基準法で定められた絶対的明示事項を漏れなく記載することが重要です。
この章では、労働条件通知書の具体的な書き方と、必ず記載しなければならない絶対的明示事項について以下の項目を解説します。
- 労働条件通知書に記載すべき項目:絶対的明示事項と相対的明示事項
- 【最新版】絶対的明示事項の具体的な記載例
- 労働条件通知書のひな形・テンプレート:厚生労働省提供のフォーマットを活用
労働条件通知書に記載すべき項目:絶対的明示事項と相対的明示事項
労働条件通知書に記載すべき項目は、労働基準法で定められた絶対的明示事項と、定めがある場合に明示が必要な相対的明示事項に分けられます。
絶対的明示事項には、労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務、始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金、退職に関する事項などが含まれます。
一方、相対的明示事項には、退職手当、賞与、安全衛生、災害補償、表彰・制裁など、企業で制度を設けている場合に明示が必要な項目が該当します。
【最新版】絶対的明示事項の具体的な記載例
絶対的明示事項を具体的に記載する際は、労働トラブルを回避するため、できるだけ詳細に記載する必要があります。
例えば、「就業の場所」は雇入れ直後の場所だけではなく、将来的に転勤の可能性がある場合はその旨と転勤先の範囲も記載します。
「従事すべき業務」も同様に雇入れ直後の業務内容のほか、将来的に配置転換の可能性がある場合は、その旨と配置転換先の範囲の記載が必要です。
また、2024年4月の法改正により、有期雇用労働者については、契約更新の上限の有無と内容も明示する必要があります。「更新上限4回まで」といった記載例が考えられます。
労働条件通知書のひな形・テンプレート:厚生労働省提供のフォーマットを活用
労働条件通知書の作成に当たっては、厚生労働省が提供するモデル労働条件通知書のフォーマットを活用すると便利です。
このモデル労働条件通知書は、法令で定められた項目を網羅し、最新の法改正にも対応しているため、法令違反を防ぐ上で役立ちます。
また、パートタイム労働者や有期雇用労働者向けのモデル労働条件通知書も用意されているため、自社の雇用形態に合わせて選択可能です。
厚生労働省のウェブサイトからダウンロードし、自社の実情に合わせて加筆・修正を行い、活用しましょう。
労働条件通知書の電子化:メリット、方法、注意点を解説
労働条件通知書の交付は、従来、書面で行うことが原則でした。
しかし、法改正により、一定の要件を満たせば電子的な方法での交付も可能となりました。
この章では、労働条件通知書の電子化について、メリット、具体的な方法、導入時の注意点について以下の項目を解説します。
- 労働条件通知書を電子化するメリット:コスト削減と業務効率化
- 労働条件通知書を電子化する方法:メール、FAXの利用
- 労働条件通知書を電子化する際の注意点:労働者の同意とセキュリティ対策
労働条件通知書を電子化するメリット:コスト削減と業務効率化
労働条件通知書を電子化する最大のメリットは、コスト削減と業務効率化です。
紙の通知書を作成・郵送する場合、印刷代や郵送費などのコストが発生します。
一方、電子化すれば、これらのコストを大幅に削減できます。
例えば、従業員数が100人の企業が全員に労働条件通知書を郵送する場合、印刷代と郵送費だけで数万円のコストがかかりますが、電子化すれば、このコストをほぼゼロに抑えることが可能です。
また、電子化によって、通知書の作成・送付・保管の手間も削減され、人事・労務担当者の業務効率化につながります。
労働条件通知書を電子化する方法:メール、FAXの利用
労働条件通知書を電子化する方法としては、電子メール、FAXの利用が認められています。
ただし、労働者が希望した場合に限られ、かつ、出力して書面を作成できる形式でなければなりません。
具体的には、PDFファイルなどを電子メールに添付して送信する方法が考えられます。
FAXは、相手方が確実に受信できる状況であれば利用可能ですが、近年は利用機会が減少しているため、現実的な方法とは言えません。
SNSは一般的ではなく、セキュリティリスクもあるため望ましくない方法です。
どの方法を選択する場合でも、労働者が確実に受信・確認できる方法を選ぶことが重要です。
労働条件通知書を電子化する際の注意点:労働者の同意とセキュリティ対策
労働条件通知書を電子化する際は、労働者から個別に同意を得る必要があります。
この同意は、書面だけでなく、電子メールなどでも問題ありません。
また、労働条件通知書には、個人情報が含まれているため、セキュリティ対策も重要です。
例えば、メールで送信する場合は、PDFファイルにパスワードを設定し、パスワードを別途通知するなどの対策を行いましょう。
労働者の同意を得た上で、適切なセキュリティ対策を講じ、安全に電子化を進めましょう。
労働条件通知書の交付義務違反:リスクと罰則を理解する
労働条件通知書の交付は、労働基準法で義務付けられています。
交付義務に違反した場合、企業は様々なリスクを負うことになるため、法令を遵守した適切な対応が必要です。
この章では、労働条件通知書の交付義務に違反した場合に企業が負うリスクと、具体的な罰則について以下の項目を解説します。
- 労働条件通知書の交付義務違反となるケース
- 労働条件通知書の交付義務違反に対する罰則:労働基準法違反
- 労働条件通知書の交付義務違反によるトラブル事例と回避方法
労働条件通知書の交付義務違反となるケース
労働条件通知書の交付義務違反となるケースは、主に2つあります。
1つ目は、労働条件通知書を全く交付しない場合です。
2つ目は、交付はしたが、必要な明示事項を記載していない、または虚偽の内容を記載した場合です。
例えば、絶対的明示事項である賃金や労働時間を意図的に記載しない、あるいは実際の労働条件と異なる内容を記載するケースが考えられます。
これらのケースは、いずれも労働基準法違反となります。
労働条件通知書の交付義務違反に対する罰則:労働基準法違反
労働条件通知書の交付義務に違反した場合、企業は労働基準法に基づき、罰則の対象となります。
具体的には、労働基準法第15条第1項の違反として、同法第120条により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、労働条件の明示義務違反が、労働契約法違反に該当する可能性もあります。
罰則を避けるためには、労働条件通知書の交付義務を正確に理解し、適切な対応を行うことが重要です。
労働条件通知書の交付義務違反によるトラブル事例と回避方法
労働条件通知書の交付義務違反は、労働者とのトラブルに発展する可能性があります。
例えば、労働条件通知書を交付しなかったために、労働者が自身の労働条件を正確に把握できず、後々トラブルになるケースが考えられます。
また、明示された労働条件と実際の労働条件が異なることが原因で、労働者が不利益を被り、紛争に発展する可能性もあります。
これらのトラブルを回避するためには、労働契約の締結時に、労働条件を明記した労働条件通知書を確実に交付することが重要です。
また、労働条件に変更が生じた場合は、速やかに労働条件通知書を更新し、労働者に明示しましょう。
労働者とのトラブルを未然に防ぎ、良好な関係を築くためには、労働条件の明示が不可欠です。
まとめ:労働条件通知書の適切な交付で、信頼される企業へ
アナタにあった職場を紹介します!
労働条件通知書の義務化に対応し、絶対的明示事項を漏れなく記載した通知書を適切な方法で交付することは、労働者とのトラブルを未然に防ぎ、信頼関係を構築する上で不可欠です。
労働者が自身の労働条件を正確に理解し、安心して働ける環境を整備することは、企業の持続的な発展につながります。
労働条件通知書の適切な交付を通じて、労働者と良好な関係を築き、信頼される企業を目指しましょう。
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