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その不機嫌はハラスメント?フキハラ対策と予防策を人事視点で解説
2024年12月19日 ハラスメント近年、「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。従業員から「上司の不機嫌な態度やため息で、職場に行くのがつらい」などの相談を受け、対応に苦慮している人事担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、人事担当者や管理職向けに、フキハラ(不機嫌ハラスメント、ため息ハラスメント)の定義や判断基準、具体的な対策を詳しく解説します。フキハラを予防・解決し、健全な職場環境を実現しましょう。
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは?定義と具体例
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この章では、フキハラ(不機嫌ハラスメント、ため息ハラスメントを含む)の定義と、他のハラスメントとの違い、具体的な事例、放置した場合のリスクについて解説します。
フキハラは、近年になって注目されはじめたハラスメントです。
直接的な暴言や暴力がなくても、不機嫌な態度やため息によって、周囲に精神的苦痛やストレスを与える行為を指します。
言葉や態度で相手に威圧感を与える行為は、パワハラなどの典型的なハラスメントに該当しない場合でも、職場環境を害する深刻な問題です。
この章を参考に、フキハラに対する認識を深め、適切な対応につなげましょう。
フキハラ(不機嫌ハラスメント)の定義
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、意識的あるいは無意識的に、不機嫌な態度や言動を周囲に示すことで、相手に精神的苦痛やストレスを与える行為を指します。
ここでの「不機嫌」とは、単に機嫌が悪いという状態にとどまらず、それを態度や言動で周囲に露骨に示すことが含まれます。
たとえば、大きな音を立てて物を置く、頻繁にため息をつく、話しかけづらい雰囲気を醸し出すといった行為が該当します。
フキハラは、近年、職場のハラスメントとして認知されはじめており、言葉や態度で相手に威圧感を与える行為は、他のハラスメントと同様に、職場環境を害する深刻な問題として注目されています。
フキハラと他のハラスメントとの違い
フキハラと他のハラスメントとの違いは、直接的な言葉や暴力による攻撃がなくても成立する点です。
例えば、パワーハラスメントは、優越的な立場を利用して、相手に精神的・肉体的な苦痛を与える行為です。
セクシャルハラスメントは、性的な言動によって、相手に不快感や不利益を与える行為です。
これらと比べてフキハラは、言葉や暴力などの直接的な攻撃がなくても成立するハラスメントです。
不機嫌な態度やため息によって、周囲を威縮させたり、不快な気持ちにさせたりするフキハラは、職場環境を悪化させる要因となります。
たとえ、本人は無自覚であっても、周囲が迷惑と感じれば、フキハラに該当する可能性があります。
ため息もハラスメント?フキハラの具体例
フキハラの具体例として、最も多く挙げられるのが「ため息」です。
業務中に頻繁にため息をつく行為は、周囲にストレスやプレッシャーを与え、職場環境を悪化させる可能性があります。
他にも、不機嫌そうに大きな音を立ててドアを閉める、舌打ちをする、大きな音を立てて、机に物を置くなどの行為もフキハラに該当します。
また、挨拶を無視する、話しかけられても生返事をする、特定の従業員を避けたり、睨みつけたりするなどの、相手を不快にさせる言動もフキハラに該当する可能性があります。
これらは、直接的な暴言や暴力ではないものの、周囲に迷惑をかける行為であり、ハラスメントとして認識されつつあります。
フキハラが横行する職場環境のリスク
フキハラが横行する職場環境では、従業員が精神的苦痛やストレスを感じ、モチベーションや生産性の低下を招くリスクがあります。
被害者は、萎縮して発言や行動が消極的になり、本来の能力を発揮できなくなる可能性があります。
また、フキハラは、職場全体の雰囲気を悪化させ、人間関係の悪化にもつながります。
その結果、離職率の上昇や、優秀な人材の流出を招く可能性も高まります。
さらに、企業としての社会的信用が低下するリスクもあります。これらのリスクを回避するためにも、フキハラに対する適切な対策が求められます。
フキハラ発生時の対応と判断基準:人事担当者が知るべきポイント
この章では、フキハラが発生した際に、人事担当者が取るべき具体的な対応フローについて、ステップごとに詳しく解説します。
フキハラは、他のハラスメントと比べて、行為のグレーゾーンが広く、判断が難しいです。
そのため、人事担当者は、慎重かつ丁寧な対応を心がけ、公平性・中立性を保ちながら、問題解決に向けて迅速に行動する必要があります。
この章では、具体的な対応フローとあわせて、グレーゾーン事例の判断ポイントを解説します。これらを参考に、適切な対応方法を身につけましょう。
被害者・加害者双方へのヒアリング方法
フキハラの疑いが生じた場合、まずは被害者と加害者双方から、別々に事情を聴取します。
この際、プライバシーの保護には最大限配慮し、安心して話せる環境を整えることが不可欠です。
特に被害者に対しては、二次被害を防ぐためにも、慎重かつ丁寧に話を聞きます。
ヒアリングでは、具体的な言動、日時、場所などを時系列に沿って確認し、記録します。
加害者へのヒアリングでは、自身の言動に対する認識や意図を確認しますが、フキハラは無自覚に行われているケースも多いため、決めつけや誘導は避けます。
あくまでも客観的な事実確認に努めることが重要です。
フキハラの事実確認と判断基準
ヒアリング内容を基に、客観的な事実確認を行います。
フキハラの判断基準は、「その言動が、周囲に精神的苦痛やストレスを与え、職場環境を悪化させているかどうか」です。
具体的には、不機嫌な態度やため息が、反復継続して行われているか、その頻度や程度はどうか、周囲にどのような影響を与えているか、などを総合的に考慮して判断します。
判断に迷う場合は、ハラスメント相談窓口や、労働問題に詳しい弁護士・社労士などの専門家に相談することも有効です。
事実確認は、問題解決に向けた重要なプロセスとなるため、慎重かつ丁寧に行いましょう。
フキハラ(不機嫌、ため息)グレーゾーンの判断が難しい事例
フキハラは、他のハラスメントと比べて、グレーゾーンが広く、判断が難しいケースが多く存在します。
例えば、「業務上、必要な指導の範囲内での厳しい口調」と「威圧的な態度」の線引きは、非常に曖昧です。
また、体調不良や家庭の事情など、やむを得ない理由で、一時的に不機嫌な態度を取ってしまうこともあるでしょう。
このような場合、すぐにフキハラと判断するのではなく、言動の頻度や程度、周囲への影響などを総合的に考慮し、慎重に判断する必要があります。
判断に迷う事例については、過去の判例を参照したり、専門家に意見を求めたりすることも重要です。
フキハラ発生時の企業としての対応フロー
企業としてフキハラに対応する際は、迅速かつ適切な対応が求められます。
まず、相談窓口を設置し、従業員が相談しやすい環境を整えます。
相談を受けたら、人事担当者や専門の相談員が、被害者と加害者双方から、丁寧にヒアリングを実施します。
事実確認の結果、フキハラが認められた場合は、行為者に対して、厳正な処分を行います。
処分内容は、就業規則に基づき、行為の態様、被害の程度、反省の有無などを総合的に考慮して決定します。
同時に、再発防止策を策定し、全従業員に周知徹底することも重要です。
フキハラ行為者への処分と再発防止策
フキハラ行為者への処分は、就業規則に基づき、厳正に行います。
例えば、戒告、減給、出勤停止などの懲戒処分が考えられます。
処分と併せて、再発防止策を徹底することも重要です。
具体的には、行為者に対する、個別の指導や研修を実施します。
また、全従業員を対象とした、ハラスメント防止研修を実施し、フキハラに対する意識を高めることも有効です。
さらに、管理職に対しては、感情コントロールやアンガーマネジメントに関する研修を実施し、不機嫌な態度を取らないためのスキルを身につけてもらうことも効果的です。
フキハラを未然に防ぐ!効果的な予防策と対策
この章では、フキハラを未然に防ぐための、企業における効果的な予防策と対策について解説します。
フキハラは、個人の意識改善だけでなく、組織風土の改善も重要です。
そのためには、トップメッセージの発信、アンガーマネジメント研修、従業員が相談しやすい環境づくり、ハラスメント防止規定の整備が効果的です。
ここでは、それぞれの施策について、具体的な実施方法やポイントを説明します。
これらの施策を参考に、自社に適した予防策を策定し、フキハラのない健全な職場環境を実現しましょう。
全従業員へのハラスメント教育の実施
フキハラを含む、あらゆるハラスメントを防止するためには、全従業員を対象とした、定期的な教育研修が不可欠です。
研修では、ハラスメントの定義や具体例、発生時の対応方法、相談窓口の案内など、実践的な内容を盛り込みます。
特にフキハラについては、無意識のうちに行ってしまう可能性があるため、自身の言動を振り返る機会を設けることが重要です。
例えば、グループワークで、具体的な事例を基に、どのような言動がフキハラに該当するかを議論させ、認識を深めさせることも効果的です。
研修を通して、従業員一人ひとりが、ハラスメントに対する正しい知識と認識を持つことで、問題の未然防止につながります。
効果的なアンガーマネジメント研修のポイント
フキハラは、怒りの感情が適切にコントロールできていないことが原因で起こるケースが多く見られます。
そのため、効果的なアンガーマネジメント研修を実施し、従業員が自身の感情をコントロールするスキルを身につけることが重要です。
研修では、怒りの感情が生まれるメカニズムや、怒りを感じたときの対処法などを、具体的に指導します。
例えば、怒りを感じたら6秒かけてゆっくりと深呼吸をする、その場を離れるなどの対処法を学ぶことが有効です。
また、自身の怒りの感情を記録し、分析することで、怒りの原因やパターンを理解し、対策を講じることもできます。
これらの研修を通して、従業員が自身の感情をコントロールし、不機嫌な態度や言動を未然に防ぐことが期待できます。
管理職向け「不機嫌にならない」マネジメント研修
管理職は、自身の言動が、部下に与える影響が大きいことを、十分に認識する必要があります。
そのため、管理職向けの「不機嫌にならない」マネジメント研修を実施し、部下との適切なコミュニケーション方法や、感情のコントロール方法を指導することが重要です。
例えば、部下と接する際は、常に冷静さを保ち、高圧的な態度や、威圧的な言動は慎むよう指導します。
また、自身の感情をコントロールするために、アンガーマネジメントの手法を学ぶことも有効です。
これらの研修を通して、管理職が自身の感情をコントロールし、部下と良好な人間関係を築くことができれば、組織全体の心理的安全性の向上にもつながります。
相談しやすい環境づくりのための施策
ハラスメントを未然に防ぐためには、従業員が相談しやすい環境づくりが重要です。
具体的には、ハラスメント相談窓口を設置し、その存在と利用方法を、全従業員に周知徹底します。
相談窓口では、専門の相談員が、中立的な立場で、相談に対応します。相談員の対応について、プライバシーの保護を徹底し、相談者が不利益な取り扱いを受けないことを保証することも不可欠です。
また、相談しやすい雰囲気づくりのために、管理職が率先して、コミュニケーションの活性化や、風通しの良い職場環境づくりに取り組むことも大切です。
これらの施策を通して、従業員が安心して相談できる体制を整備し、問題の早期発見・早期解決につなげます。
ハラスメント防止規程への明記と周知徹底
企業としてハラスメントを許さないという、明確な姿勢を示すためには、ハラスメント防止規程の整備と周知徹底が重要です。
ハラスメント防止規程には、ハラスメントの定義、禁止行為、相談窓口、対応フロー、処分規定などを明記します。
特にフキハラについては、他のハラスメントと比べて、認識が薄い、あるいは新しい概念であるため、具体例を挙げて、わかりやすく説明することが重要です。
また、規程を策定するだけでなく、全従業員に周知徹底し、理解を深めることが必要です。
例えば、社内報やイントラネットへの掲載、研修の実施、ポスターの掲示などの方法で、従業員への周知を図ります。
これらの取り組みを通して、企業全体でハラスメント防止意識を高め、健全な職場環境を実現します。
まとめ
イマすぐ退職したい!
フキハラは、職場の雰囲気を悪化させ、従業員のモチベーション低下や離職につながる重大な問題です。
不機嫌な態度やため息は、周囲に精神的苦痛やストレスを与え、職場環境を害するハラスメントに該当します。
人事担当者や管理職は、フキハラの定義、判断基準、リスクを正しく理解し、適切な対応を講じることが重要です。
具体的には、被害者・加害者双方へのヒアリング、客観的な事実確認、相談窓口の設置、ハラスメント防止規程の整備、全従業員へのハラスメント教育、管理職向け研修、相談しやすい環境づくりなどを通して、問題の未然防止に努めます。
また、万が一、フキハラが発生した場合は、迅速かつ適切に対応し、再発防止策を徹底することが求められます。
企業全体で、フキハラは許さないという共通認識を持ち、予防と対策に取り組むことが重要です。これらの取り組みを通して、従業員が安心して働ける職場環境を実現し、従業員のエンゲージメント向上を目指しましょう。
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